健康推進部長への道 第5回「銀の認定」

健康推進部長への道 第5回「銀の認定」

健康経営優良法人に選ばれるための最初のステップ「健康宣言に参加」はクリアしました。
(FAXを送っただけですが…)

これから、健康経営優良法人の認定のため、本格的に活動を行っていきます。
社長プロジェクト?とはいえ、会社全体で取り組んでいくためには、社員の理解が不可欠です。

そこで、毎週行っている全体会議の場で、説明をしました。
言葉だけだと説得力に欠けるので、
経産省のホームページにあった難しそうな資料も何枚か出しました。

経産省「健康経営ガイドブック」より
経産省「健康経営ガイドブック」より

「健康経営は、社員の健康のためだけでなく、生産性の向上などにも役に立つそうです。
だから、当社は健康経営優良法人を目指そうと思います!」

シーン…。
あれ?まさかのノーリアクションです。
なぜか社長も黙っています。

やがて、経理部長が訝しげな顔で反問してきます。

「主旨はまぁわかった。それでひとつ聞きたいのだが…、
その認定を受けて何か直接的なメリットはあるの?
たとえば、自治体への公募で加点されるとかね」

予想外の厳しい意見でした。
しかも、周囲も経理部長に同調するような雰囲気です。
もしや、みんな面倒なことをやらされるのではないかと、警戒しているのではないか。
あるいは、経産省の資料が裏目に出たか。
私は完全にテンパります。

「た、たしかに、会社の売り上げに直接貢献するようなことはないと思いますが、
いろいろ役に立つと思います。たとえば…イメージアップとか」

経理部長は苦笑しながら、

「イメージアップねぇ。そういうのは余裕がある大企業がやるものなんじゃないの。
だいたい、イメージアップで仕事が取れるのか?費用だけかかって、売り上げが上がらないと経理としては、困るんだけどね」

額から冷や汗が止まりません。
もう勢いで押し通すしかありません。

「極力費用は欠けませんし、皆さんが負担に思うようなことはいたしません。だからよろしくお願いします!」

長い沈黙の後、社長がつぶやきます。

「まぁ、とりあえず、やってみたら」

結局、この鶴の一声で決まりましたが、先が思いやられます。

さて、それから当社の保険者である協会けんぽ・東京支部を訪ねます。
具体期にどうすれば、健康経営優良法人になれるか、相談をするためです。
名刺に「健康経営アドバイザー」と書かれた方に対応していただきました。

「健康経営優良法人に推薦するためには、健康企業宣言のSTEP1を実施していただき、銀の認定を受けてもらいます」

健康企業宣言のSTEP1?
銀の認定?
私は相変わらず勉強不足でしたが、協会けんぽの方は丁寧に説明してくれました。

「来年の健康経営優良法人に間に合わすならば、
9月中旬くらいまでに銀の認定がとってもらう必要があります。
銀の認定というのは、このチェックシートにあることをやってもらいます」

銀の認定のチェックシート

従業員が健康づくりに話し合える場はありますか(5点)、健康測定機器を設置していますか(5点)、
従業員の仕事中の飲み物に気をつけていますか?(3点)、
従業員にたばこの害について周知活動をしていますか?(3点)、
気になることを相談できる職場の雰囲気をつくっていますか(3点)など、18の項目で
80点以上取れば認定だそうですが…

やっていないことばっかりじゃん!

担当の方はまずは計画づくりからやりましょう、とスケジュールのサンプルをくれました。

これをつくるだけでも大変!

銀の認定のためのスケジュールのサンプル。

9月中旬まで、あと4か月(この時は5月中旬)
果たして、今から間に合うのだろうか…。
そもそも無謀だったのか。

しかし、会議の場であそこまで言ってしまった以上は
今さらやめずらい…。

突然、落ち込んでしまった私。
次の一言で、完全に崖から突き落とされます。

「健康担当者がひとり頑張りすぎて、結果的に疲れてやめてしまうことが
結構多いので、くれぐれも気をつけてくださいね」

(この連載は不定期更新です)

 

健康推進部長
虎ノ門ではたらく健康推進部長(見習い)。
全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部・健康保険委員。日本成人病予防協会認定 健康リズムカウンセラー(健康管理能力検定2級)。市民ランナーなど肩書だけは多い。
8月の健検(日本健康マスター検定)は不合格。来年に向けて勉強中。

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